1. はじめに 〜テレビ出演のご報告〜

先日、福岡のローカルテレビ番組に出演させていただきました。
ご覧くださった皆さま、ありがとうございました。

番組では、私が暮らす福岡県朝倉郡東峰村での「半農半陶(はんのうはんとう)」の生活や、小石原焼の作陶風景をご紹介いただきました。
とても丁寧に取材していただき、普段の暮らしがそのまま映像に映し出されていて、少し恥ずかしくもあり、うれしくもありました。

せっかくの機会ですので、番組内容を振り返りながら、「小石原焼」と「半農半陶」の魅力を、このブログでもご紹介させていただきます。

📺 番組はこちらからご覧いただけます:
👉 YouTube「半農半陶」(福岡県東峰村)

2. 小石原焼のふるさと、東峰村とは

東峰村の棚田

小石原焼は、江戸時代からこの東峰村に伝わる焼き物です。
この地に窯場が開かれたのは、赤土に恵まれ、山には薪が豊富にあったからと言われています。

山と田んぼに囲まれた自然豊かな東峰村では、暮らしと焼き物が密接に結びついています。
四季の移ろいを肌で感じ、自然のリズムに合わせて生きる中で、器づくりもまた、その一部としてあります。

3. 「半農半陶」という生き方

私が営む「カネハ窯」では、昔ながらの「半農半陶」の暮らしを続けています。
春から秋にかけては田んぼで米を育て、冬の間に作陶を行う。農業と陶芸を両輪として生きるこの生活スタイルは、昔の窯元では当たり前のものでした。

ですが、今ではこのような暮らし方を続けている窯元は、東峰村でも数軒だけになってしまいました。
それでも私が米作りをやめられないのは、「また米を作りたくなった人のためにも、田んぼを残しておきたい」という気持ちがあるからです。

この土地で暮らしていると、草木の匂い、鳥や虫の声、風の音といった自然の気配が、日々の生活を支えてくれていると感じます。
その恩返しの気持ちも込めて、土と向き合っています。

4. 土と共に生きる 〜小石原焼の魅力〜

小石原焼の特徴の一つは、地域の素材を活かすという姿勢にあります。
私たちは、東峰の土を使って器を作ります。そして、稲刈りで出た藁や籾殻なども釉薬の原料として活用します。

つまり、田んぼで育ったお米も、器も、同じ土から生まれているのです。
「自分が育てたお米を、自分が作った茶碗で美味しく食べてもらいたい」。その思いがあるからこそ、茶碗の形や口当たりには特にこだわっています。

器づくりも自然の一部であり、山と田んぼの恵みによって支えられています。土に触れ、炎と向き合いながら、自然とつながっている感覚が、私にとっては何よりの喜びです。

5. 自然と地域への想い

陶芸風景

農業と陶芸を両立することは簡単なことではありませんが、それによって地域の繋がりも生まれます。
例えば、うちで収穫した稲わらを、他の窯元さんに提供することもあります。昔は当たり前にあった助け合いの風景が、まだこの村には残っています。

自然からいただいたものを、なるべく無駄にせず、感謝を込めて使い切る。
そして、「自然に恩返しができるような仕事がしたい」と、常に心にとめています。

自然とともにある暮らしには、不便も多いですが、そのぶん得られるものも大きいと感じます。季節のうつろいに合わせて暮らし、土に耳を傾けながら器をつくる——そんな日々にこそ、ものづくりの本質があるように思います。

6. おわりに 〜テレビ出演をきっかけに〜

今回のテレビ出演を通じて、たくさんの方に「半農半陶」の暮らしや、小石原焼の魅力を知っていただけたことをとてもうれしく思っています。

器を通じて伝えたいのは、手でつくることのあたたかさや、自然と共に生きるよろこびです。
これからも、土と向き合い、自然と共にある暮らしを続けながら、ものづくりをしていきたいと思います。

今後も、窯開きや展示会の情報なども発信していきますので、どうぞお楽しみに。


読んでくださってありがとうございました。
ぜひ、動画もご覧いただければうれしいです。

👉 YouTube「半農半陶」(福岡県東峰村)